【掲載情報募集中】ライブハウス・クラブへの支援活動情報まとめ

音楽関連の支援活動情報のまとめです。(軽音楽・非クラシック中心)

情報ウェブマガジンの themassage.jp によるもので、支援プロジェクトについて掲載もできるそうです。

 

themassage.jp

 

盗用なのか流用なのか:米大手スーパー「トレーダージョーズ Trader Joe’s」から考える「文化のアプロプリエーション」」

 

アメリカにトレーダージョーズTrader Joe’s)というスーパーがある。「貿易商人ジョーの店」と名づけられた南国風のスーパーは、1967年にカリフォルニア州パサデナに生まれ全国展開している。2020年はじめには創業者のジョー・コーロンブの訃報が報じられたことも記憶に新しい。

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パサデナにある第1号店。南国風ヤシの木が目立つ。

日本からの観光客にも、ホールフーズと並び人気のスーパーである。可愛いエコバッグとかオリジナルのグッズを見たことがある人もいるかもしれない。筆者も何度かアメリカ土産を配ったことがある。

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アメリカ スーパー エコバッグ」でググった結果。トップにTrader Joe'sが出てきます。

ホールフーズやゼイバーズ、ブルーノブラザーズなどの高級価格帯ではなく、最安値ではないもののそれなりに安いスーパーの類であり、普段使いに重宝する。全米売り上げで単純に測っても、2000年代半ばには全米スーパー第二の売上を誇るほどに成長し、米国を代表するスーパーマーケットとなった。この人気について少し解説してみよう。

 

自社ブランドを主力にする「トレーダー」

何よりこのスーパーに目立つのは、自社ブランドの商品である。肉や野菜など生鮮食品からシリアルやパン、冷凍食品までほとんどの商品が自社のプロダクトだけで占められている。自社外のものは、どうしてもカバーできないが常に置いておきたいものに限られているようだ。自社製品は全てクールなデザインのパッケージで統一感がある。

この「見つけてきて、良く見せて売る」というのは貿易=トレードの基本である。つまり、社名の「トレーダー」には、良いものを見つけてセレクトして紹介する貿易商の態度が表れている。実際ジョー・コーロンブは、1960年代のアメリカで中間層の海外旅行が増え、海外製品への国内需要が増えたことに目をつけて創業したという。西洋からの「エキゾチック」なまなざしの時代の産物なのだ。「貿易商人」というイメージはその社名だけでなくヴィジュアル面でもデザインされ、外装・内装はヤシの木がアイコンになっていたりと南洋風である。プライベートブランド(PB)中心の方針へと舵を切ることで圧倒的な儲けを出してきたが、何かどこか遠くから見つけてきたものを、自社ブランドとしてパッケージ化しているのだ。これがトレーダージョーズが売れている理由であり、その他のスーパーとは少し違う文化を持っている点である。

 

「2ドルのチャック(Two Buck Chuck)」

このトレーダージョーズが名を馳せたのは、なんと言っても一本200円ほどで買えるワインのヒットである。発売以来「2ドルのチャック」のニックネームでバカ売れした。シャルドネメルローカベルネソーヴィニオンからボジョレータイプまで、ブドウ種も多彩でなんと9種も用意されている。2018年にはオーガニックラインも発売した。 この2ドルで買えるワインが引き金となって、学生を始めとして「安いけどいい」スーパーとして君臨しはじめたのである。

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その後2.49ドル、2.99ドルと値上がりして、その度に残念がられていたが、なんとこの度2020年に「2ドルのチャック」が復活した。

文化を紹介する「窓」

この「外」から「良いもの」を見つけてくる、というのは海外文化の紹介窓口としても機能する。他ではあまり触れる機会がない人たちにとっては、ある文化への認識を広げるものになる。トレーダージョーズ日本食の商品を例にとると、醤油にポン酢、枝豆なんかは既にアメリカ社会で普及しているものであるが、味噌味カップラーメンや冷凍かき揚げ(ちなみにケール入りである)などは、このスーパーで知ったという人も多いのではないだろうか。

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トレーダージョーさんのSOYAKIソース。なんだこれ?と思ったが、Soy Teriyakiの略のようで、焼肉のたれ風。

ヒップスター的センス

トレーダージョーズの日本関連商品のシリーズは、「トレーダージョーさん(Trader Joe-San)」などと名づけられている。先にクール(オシャレ)なデザインといったが、もう少しいえば、トレーダージョーズのオシャレさは、「ヒップスター」的なセンスだ。ステレオタイプを使って面白おかしくひねりを効かせたネーミングセンスが笑いを誘う。このような、キッチュ(陳腐)だが「それ敢えてやってんだよね」と、ベタなものをメタな視点でネタにするのが、とてもヒップスター的だ(日本語であれば、自分のファッションな振る舞いを「オサレ」や「(笑)」と卑下して笑いをとるのが近い)。

ステレオタイプを利用したネーミング

Trader Jose's (メキシコ料理)
Trader Ming's (中華料理)
Baker Josef's (ベーグルや小麦粉)
Trader Giotto's (イタリア食材)
Trader Joe-San (和食・日本食)
Arabian Joe's (中東料理)
Pilgrim Joe's (クラムチャウダーなどニューイングランド料理)
JosephsBrau (ビール)
Trader Johann's (リップクリーム)
Trader Jacque's (石鹸、フランスもの)
Joe's Diner (「ダイナー」。冷凍食品)
Joe's Kids (子供向け食品)
Trader Darwin's (「ダーウィン」。サプリメント)

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ビール「ヨーゼフブラウ(ジョーのビール)」。「Prost(乾杯)」と記載があり、パッと見どう見てもドイツビールです。

文化の「盗用」?

上に挙げたように、各地域の特産品がステレオタイプたっぷりに商品化されている。これは「誤った」文化紹介と感じる人もいるだろう。例えば、上で紹介したケール入りのかき揚げについて考えてみる。「かき揚げ」という料理を全く知らないアメリカ人にしてみれば、「これがかき揚げという和食なのだ」と理解する入口となる。だが、読者のなかには、「かき揚げにケールなんて使わないよ」とか「これはかき揚げではない」と感じる人もいるかもしれない。別の例なら、最近はオーガニックスーパーで、粒々に刻んだ人参をコメ状にして海苔で巻いたsushiを見かけるが、あなたに取ってこれは「スシ」と呼べるものだろうか。

トレーダー=貿易商人たるジョーの仕事は、アメリカの主流社会に「日本文化」を普及したのと同時に、文化への誤った認識を広げる側面もある。さらに具体的な立場から考えてみれば、日系一世・二世らが経営する競合店にしてみれば、販売の機会を奪われることにもなるのだ。

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ケール入りのかき揚げ(トレジョファンサイトより http://www.traderjoestsuu.com/2018/04/blog-post_25.html

別の民族的マイノリティの文化からとりあげると、トレーダージョーズには、キムチや韓国海苔タコシェルにエンチェラーダなども豊富なラインナップで販売されているが、トレーダージョーズ流の「韓国文化」や「メキシコ文化」も、当地の文化をよく知る人からすれば「本物(オーセンティックauthentic)」でない「紛いもの」であるかもしれない。「本物」の商品を売るものからすれば、トレーダージョーズ製品は、文化を都合よく商材として使った「文化の盗用」だったりする訳である。

カルチュラル・スタディーズの分野では、このように文化を別の社会文脈に置き換える行為を「文化のアプロプリエーション(appropriation)」と呼ぶ。この日本語訳には「流用/盗用」と二つの訳がなされている。強者が弱者の側から奪うという力関係がある場合に「盗用」と呼び、次項で見るように、中立的だったりよりポジティヴに見れば「流用」と呼ばれることが多い。


文化の「流用」と「ハイブリッド」

筆者も最近は日本に住んでいるので”トレジョ”に行く機会もとんと減ったが、ある新製品の存在をネットで発見した。その名もUbe Mochi Pancake Mixであるが、普通は「パンケーキ=ホットケーキ」の部分以外なんのことか全くわからないだろう。

mochi(モチ)とは何か。

大雑把に言えば、餅米で作った餅のことではなく、和菓子でモチモチしたあの牛皮のことを指す。普及した経緯からであろう、最近のアメリカで”mochi”と言えばロッテの「雪見だいふく」の同等品を指す。これはトレーダージョーブランドが普及させたと言われる。一般的なアメリカのアイスより甘くない(ので好きだ)。抹茶味で日本文化的なものが強調されていたりもする。

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Trader Joe's公式サイトより

Ube Mochiの”ube”とは何か。

これは初めて知った。山口県宇部市のなにかだろう、近所の酒造「獺祭」が全米でブームなので日本酒味か?とはじめ推察していたが、全然違った。紫ヤムイモのことで、フィリピンのお菓子でよく使われるものだそうだ。一時ハロハロといったパフェアイスがミニストップで売られていたが、あれもフィリピン由来でこの「ウベ」(と発音するようだ)のアイスを使うのが一般的。日本+フィリピンの混合である。

と、なるとここでようやくわかった。ube icecream〜ube mochiという連想である*1。つまり、「紫いもアイスクリーム」味のホットケーキということである。もっと噛み砕いて言えば、ティラミス味のチョコパイ(うまいよね)のようなものである。

謎の新製品の正体はこうしてわかった訳だが、トレーダージョーズは「外部」の文化を紹介=流用するだけでなく、混ぜ合わせて発明が起こる場にもなっている。東洋風の現代の貿易商は、多彩な文化を「流用」してハイブリッド(混淆、hybrid)することで、新たな「文化」を生み出しているのだ。

実は掘り下げるともっと面白い。アメリカの報道などでは日系人のフランセス・ハシモトが作った Mikawayaという会社がもちアイスの「公式」な発案者ということになっているのだが*2、前後関係だけでみれば、発売は1993年でありロッテ社の雪見だいふくの1981年からは大分遅れを取っている。ハシモトは、ロサンゼルスのリトルトーキョー全盛期に活躍し、1943年に第二次大戦中のアリゾナ強制収容所キャンプで生まれた人物である。mochi (ice cream)は、カリフォルニア、ハワイと日系人コミュニティに広がったのち、トレーダージョーズを通じて全国へと知られる「アメリカ文化」へと昇格されたのであるが、これは、ハシモトらが、自身のルーツである日系人イメージを戦略的に用いてアメリカ社会にmochiを文化として普及させたと見れば「流用」であるが、他方で、ロッテ社や日本国内で「雪見だいふくを発明したのは自分たちの文化だ」と思っている人たちにとっては、ハシモトに「盗用」されたということになるのである。

このように、文化が「盗用か流用か」は一概に判断できないもので、その力関係に注目しながらケースバイケースで考察をすべきである。トレーダージョーズの「アプロプリエーション」は、こうした点で一考に値するだろう。

 

*1:ubeじゃないmochi mixも既発。こちらは「柔いモチの口当たりのある、ハワイにインスパイアされたケーキ」とある

*2:https://www.latimes.com/local/obituaries/la-xpm-2012-nov-07-la-me-frances-hashimoto-20121107-story.html

アラスカ州で『グレート・ギャッツビー』などが教科書から排除

先月22日のことですが、アラスカ州パルマー郡のマタヌスカ・サストナ学区の教育委員会は、『グレートギャッツビー』などを含む古典文学を、11年生(高校2年)の教科書として使用することを禁じる発表をしました。

Five Classic Books Banned from Alaska School District - National Coalition Against Censorship

 

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  • Maya Angelou "I Know Why the Caged Bird Sings" 『歌え、翔べない鳥たちよ』

アフリカ系アメリカ人公民権活動家の詩人で歌手のマヤ・アンジェロウの代表作。

  • Ralph Ellison "Invisible Man"『見えない人間』

ラルフ・エリスンによる、1930年代のニューヨークの「賢くて、論理的な、黒人らしくない」黒人少年すなわち「見えない人間」を主人公とした物語。

  • F. Scott Fitzgerald "The Great Gatsby"『グレート・ギャッツビー/偉大なるギャッツビー』

F・スコット・フィッツジェラルドによる1925年の代表作。「失われた世代」の作家が狂騒のジャズエイジを描いたアメリカ文学の金字塔。

  • Tim O’Brien "The Things They Carried" 『本当の戦争の話をしよう』

ティム・オブライアンによる兵士の体験談を元に自伝風にヴェトナム戦争を描いた作品。(村上春樹によって訳されています)

  • Joseph Heller "Catch-22" 『キャッチ=22』

ユダヤ系小説家ジョセフ・ヘラーが第二次大戦中の兵士たちを描いた「不条理」小説。

 

以上5冊の名だたる古典文学を含むことで話題となりました。戦争、公民権運動、人種・民族と貧困や格差の問題、「失われた世代」。それぞれが、アメリカの社会や歴史における問題を鋭く描いたものであることがわかると思います。これらは高校生が「知るべきではない、読むべきではない」ものなのでしょうか。カリキュラム化された授業という空間においてでも、「教育上よくないもの」なのでしょうか。

全米反検閲連盟(National Coalition Against Cencership)も正式に反対声明を出したり、ポートランドで活躍するこの学区出身のバンドPortugal. The Man反対を唱えています。

禁止の背景には宗教保守派のロビーイングや政治家がいるのですが、禁止理由を「物議を醸す(controvertial)」ためという言い方で濁しています。あくまで、ある立場からの倫理的な「良い悪い」という判断ではなく、「社会にとって害悪でしょう?」と多くの賛同が得やすい言い方にしています。また、憲法違反に当たらず法案として通過しやすい方法でもあるわけです。これは、同連盟による検閲の方法論をまとめた以下の本でも典型的なやり方であると指摘されています。

 

最後に、連盟代表Svetlana Mintchevaが書いたこの本が面白いのでおすすめしておきます。両開き(flipbook)となって言います。裏表紙から開けると『芸術の自由のマニュアル(A Manual for Art Freedom)』なんですが、表表紙からはなんと『検閲マニュアル(A Manual for Censorship)』になっていてシャレが効いています。これについてはまた取り上げてみたいと思っています。

 

ncac.org

 


本屋を救うブックストア・エイド基金(5月31日まで)

 

ブックストア・エイド(Bookstore AID)基金

クラウドファンディングで書店・古書店への支援が立ち上がりました。

 

下北沢のお酒を飲めるイベント書店B&B(beer and booksですね)などで知られる内沼晋太郎さんらが立ち上げました。現在下に挙げた50店舗ほどが参加していて、随時増える予定です。

リターンには、QRコードでの図書カードや、支援したい書店で使える「Bookstore AID図書券」など。2万円以上のプランでは『Bookstore AID特典本』もある。

4月30日に立ち上げ。5月31日まで。

 

内沼さんも記事のなかで触れていますが、「ミニシアターエイド基金」の大きな影響力を受けてこの企画を始めたそうです。ミニシアターエイド基金の方は、並行するSAVE THE CINEMAを通じた日本政府・国会議員への要望書提出したこともあり、口コミからメディアでの積極的な発信へとつながり、国会でのコロナ政策の検討質疑でも言及されるに至りました。

ブックストア・エイド基金も同じように、多方面からアプローチして国会でも話題に上がる流れになるといいですね。

 

さらに詳しく

【詳細版(公式)】

公式ファンディングサイトです。「本」関連の人たちによる記事だけあって、ものすごく長文で詳細に書かれています(笑)。配当分配の仕組みも平等さを確保するためにものすごく細やかに作ってあり、一読しただけではわからないほどでした。

motion-gallery.net

 

 

【簡易版】

上の公式記事は相当な情報量なので、まずは以下のCINRA.net の記事や、TBSラジオで内沼さんが話をしているものから入るのもわかりやすくて良いです。

↓ 読んで知る

www.cinra.net

↓ 聴いて知る

www.tbsradio.jp

TBSラジオLifeの 『コロナ下の「新・日常」を生きる』 こちらはまだアップされていませんが、part3の5分20秒あたりから。)

www.tbsradio.jp

 

参加加盟店一覧(転載)

以下が現時点での参加書店・古書店です(81店。5月5日現在)。参加をご希望の書店・古書店は下記のフォームよりご連絡ください。 https://forms.gle/S7qBBk6nTv33DXwr9

■北海道
ビーバーズブックス*

岩手県
桑畑書店

秋田県
乃帆書房

福島県
古書 会津

■千葉県
せんぱくBookbase

■東京都
本屋ロカンタン / えほんのみせ ぱっきゃまらーど♪ / NENOi / BREWBOOKS / ナワ・プラサード / ブックハウスカフェ / 韓国の本とちょっとしたカフェ CHEKCCORI / ビブリオ / 百年 / ひるねこBOOKS / 本屋イトマイ / KAIDO books&coffee / 自由丁 / ブックマート都立家政店 / 古本ト占JUNGLE BOOKS / タコシェ / SNOW SHOVELING BOOKS & GALLERY / 古書現世 / 気流舎 / 模索舎 / 古本 りんてん舎 / リズム&ブックス / ほん吉*/ 古書サンカクヤマ* / 愛書館 中川書房 / CATALOG&BOOKs* / 山陽堂書店* / 古書むしくい堂 / ニジノ絵本屋 / 古書ソオダ水 / 小鳥書房 / 神保町ブックセンター

■神奈川県
ワグテイル ブックストア / ポルベニールブックストア*/ 本屋・生活綴方* / 楕円 / (有)ポラーノ書林

富山県
古本いるふ / あっちゅん堂 / プー横丁 / デフォー 子どもの本の古本屋

■石川県
KIZUKIBOOKS / 近八書房

静岡県
BOOKS AND PRINTS / えほんやさん / 長倉書店 修善寺店 / 長倉書店サントムーン店

■愛知県
幸田駅前書店 / BiblioMania

三重県
book café古川書店

滋賀県
六月の水曜日

京都府
CAVA BOOKS / Books&cafe Wonderland / マヤルカ古書店 / メリーゴーランド京都

大阪府
はっち / ピクチャーブックギャラリー リール / Karite / FOLK old book store / (本)ぽんぽんぽんホホホ座交野店 / ブックマート千林大宮 / まがり書房

兵庫県
BookStore iChi / casimasi / 古書みつづみ書房

奈良県
古書 柘榴ノ國

鳥取県
定有堂書店

岡山県
451ブックス / つづきの絵本屋

広島県
りんご堂 / ホリデイ書店 / 本屋UNLEARN*

香川県
なタ書 / 本屋ルヌガンガ*

■福岡県
ブックスキューブリックけやき通り店 / ブックスキューブリック箱崎

【ネタバレ注意】原一男『れいわ一揆』5つの「おもしろい」:世界中で崩壊する民主主義に蔓延るグロテスクの縮図

※以下、本編に関するネタバレがあります。事前に内容を知りたくないという方はご遠慮ください。

 

『れいわ一揆』2019.11.2@東京国際映画祭

監督:原一男 製作:島野千尋 

撮影:原一男 島野千尋 岸建太朗 堀井威久麿 長岡野亜 毛塚 傑 中井献人 田中健太 古谷里美 津留崎麻子 宋倫 武田倫和 江里口暁子 金村詩恩

編集:デモ田中 小池美稀 製作・配給:風狂映画舎

2019年/248分/DCP/16:9/日本/ドキュメンタリー

©風狂映画舎

https://eiga.k-img.com/images/buzz/82959/3d7f9b16803b8ec0/1200.jpg

docudocu.jp

 

「おもしろい映画を作りたい、という一念で取り組みました。」

 

原一男監督が今回の世界初プレミアの前にツイートしていたこの言葉。オールナイト上映を観て、その前後の原監督、安冨歩氏やれいわ新撰組のメンバーたちのトークショーを聞きました。(2019年11月3日)

 

以下ではこの「おもしろい」という監督の言葉を受けて、それに沿って感想を書いてみます。5つの点からいかに「おもしろい」映画だったのかを論じていこうと思います。

 

①れいわ新撰組・れいわ現象の「裏側」をのぞく

本作はまずはもちろん「れいわ新撰組」の映画だった。れいわがどのように立ち上がり、何をしてきたのか。2019年の春、突如沸き立あがり短期間に巨大な胎動を成した「れいわ現象」の現場では、どのようなことが起こっていたのか。多くの人たちが気になっているこれらの疑問に一定程度答えるものとなっている。そこでは、これまでマスコミや多くのスモールメディアも捉えきれなかった、いわゆる「裏側」を描いたという側面もあり、れいわについて理解がより深まったという満足感が得られる。これがひとつ目の「おもしろい」。

 

安冨歩の思想と活動を知る

そしてもちろん安冨歩氏の映画でもある。なぜ馬に乗りマイケル・ジャクソンを語り、「子供たちのための未来」を選挙活動の柱としたのか。一見すると奇異な活動で安冨氏は何を目指しているのか。2019年参議院選挙中やそれまでの活動の断片からだけでは(少なくとも私には)十分な理解が困難であった、安冨氏の思想や政治へのスタンス、社会運動の方法が、素直にスッと理解できた。また、端的かつ明晰な安冨氏の「言葉」でそのことが伝えられる。上映前のトークで、原監督と安冨氏がやや曖昧な用語で指摘していた、「言葉の映画」というのはこの意味だろうか。れいわや安冨氏について、不勉強に、しかし興味を持って追いかけていた私のような観客がこの映画を観たとき、モヤモヤしていた安冨氏への理解が、極めて濃厚な密度と情報量で深まっていく。これが二つ目の「おもしろい」。

 

現代社会の問題の写し鏡としてれいわ現象をみる

また別の水準では、現代社会の問題の写し鏡となる映画である。トランプ現象などの例を挙げるまでもなく、民主主義の崩壊が進み世界は大きな曲がり角を迎えている。ここに現れた軋みを大写しにするリトマス試験紙のような役割を、弱者や世の中で声をあげる力のない人々が担っているはずだと思う。安冨氏も同じ趣旨のことを選挙演説で繰り返し述べていた。

れいわ新撰組の各人が持つ、マイノリティ・弱者としての特性はそれぞれ異なっている。重度障害を持つ船後靖彦・木村英子両氏はもとより、拉致被害者家族であり原発労働者という蓮池透氏、コンビニ店長として事業主ながら大企業に苦役を強いられた三井義文氏、本土・国政が沖縄を切り捨てていることを軸に創価学会員でありながら公明党への批判を唱える野原義正氏など。これらのマイノリティ性・弱者性の語りに加えて、党首の山本太郎が戦略的に焦点を当てるのは、経済格差への批判と消費税撤廃という「弱者目線の政治経済」の論点である。これらに共感が生まれたのが、れいわ「現象」である。

一方の安冨氏は、これらの多元的で局所的なバラバラの課題を大きな文明論へと編み上げる役割を果たす。映画は安冨氏の活動にフォーカスしながられいわ現象全体を見通すことで、より俯瞰的な視座かられいわ現象を日本社会の問題として捉えて、普遍化することに成功している。この抽象化によって現代社会が抱える課題群としての理解が深まり、トランプの台頭やブレグジットなどの現象などへと、次々とヨコの連想が生まれる。こうした社会の課題が見えて「おもしろい」ことが三つ目。

 

④「異物」から世界をあぶりだす原一男ドキュメンタリーとして

そして、ドキュメンタリーとしても「おもしろい」。原一男ドキュメンタリーとしてフィルモグラフィを振り返れば、過去作と多くの共通点が感じられる。つまり、大きな社会背景や歴史的悲惨を「書割り」として置いた上で、しかしそれは意識的か無意識的かわからないような微妙な距離感で保ちつつ、主人公として、ひとりまたは少数の「異物」にフォーカスする。そして、観客の心に突き刺さる衝撃を次々と与えることで没入を促し、すると次第に「書割り」が立体的に迫り出してきて、映画はドラマ性を帯びてくる。このドキュメンタリーとして「おもしろさ」にグイグイ引きこまれた。鑑賞直後にツイートで「エンタメ」と評したのは、この点だった。

しかしここには、同時に困難も感じた。おそらく選挙を時系列で語るという話法に由来しているように思うけど、これによって安冨さんの異物感を「小出し」にしている印象を受ける。また、約四時間という長尺の後半の方へと盛り上がりや没入のポイントが集中することになり(また前半がれいわ新撰組全体像を割と丁寧に描くことに徹していることにも関係しているかもしれない)、「おもしろさ」がやや薄まっているように感じる。

 

⑤映像から物語をひび割れさせ観客が能動的に「一揆」を起こすドキュメンタリー

もうひとつのドキュメンタリーとしての「おもしろい」は、こうだ。画面に写りこんだもの全てから様々なものが伝わってくる、それは映画の柱にあるテーマや物語とは必ずしも整合しない、それゆえに可能性に満ちていて豊かであるーーーつまり、ドキュメンタリー映画特有の強度がある(映像固有の強度と言っても良い)。

アジ演説や感動のエピソードは美しい画面で届けられ(トークでも監督は画面が「映画的」で「美しい」ことにこだわったと強調していた)、涙する感動に一気に身体全体を持っていかれるような瞬間がある。しかし同時に、「あれ?この人の台詞は芝居がかってるよな」と透かして見せてしまうような場面もあって虚を突かれる。

つまり、全体としては、れいわの熱狂を観察し、安冨氏の言葉に次第に心を奪われながら、観客の思考は次第に巨視的なところへと昇華されていく。だがその一方で、見ている対象それ自体が作り物であると気がつかされる。安冨のアジテーションだけにとどまらず、山本太郎やれいわが作り上げつつある選挙や政治の様式にある「芝居感」に気がつくことで、ああ、そうか、とハッとさせられることになる。

現代の日本社会で決まりきった「型」となった選挙活動や党派政治とは、決して「特殊な」グロテスクさではないのだ(そう、想田和弘監督が『選挙』で描いたようなあれである)。世界中で崩壊し続ける民主主義をギリギリのところでかろうじて支える、近代社会に蔓延っているグロテスクさである。その「グロテスク」の型に乗っかることでしか規範をひっくり返すことはできない。すなわち、外側からは「革命=一揆」は起こらないのだ。

ライブハウスをつなぐ支援、音源で還元:MUSIC UNITES AGAINST COVID-19

ライブハウス支援にも参加してみました。お礼(リターン)は錚々たる面々による73曲の音源。ROVOスチャダラパー七尾旅人さん、蓮沼執太くんが好きです。

支援するライブハウスを一件だけ選ぶシステムで、これは迷わされる。複数回支援してもリターンは同じ音源のDL。迷うので出演したことがある岡山のCrazy Mamaにしました。岡山地域の文化支援なら、能勢伊勢雄さんの作ったペパーランドにも支援したかったけど、(まだ?)参加していなかった。

 

公式の説明

MUSIC UNITES AGAINST COVID-19 フォルダのアクセス権を
ダウンロード購入することで、自分が応援したいライブハウスを支援することができます
5種類の価格の中から自分が支援したい金額を選んで購入できます
どこのストアでどの金額で購入しても商品内容は同じです

フォルダの中には「プロジェクトに賛同した約70組のミュージシャンが提供する楽曲データ」が置いてあります
これらは皆さまの支援へのお礼です
期間内(2020年6月末日まで)であれば好きな時に聴いて楽しむことができます

t.co

「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」:映画文化と経済を持続させる鮮やかなその仕組み

「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」が、開始後3日目にして、早くも目標額の1億円超を達成しました(5月14日まで)。祝。参加させてもらっている身としては余計に嬉しいものです。これが映画の現場の経済規模としてどの程度の意味を持つのかに関しては知識がないのですが、一旦は「成功」とみられるのだと思います。このタイミングで、その巧みな仕組みについて考察して感想をまとめておきたいと思います。もしかしたら、他分野のファンディングのモデルにもなるかもしれません。

motion-gallery.net

【その後の経緯】

追記4/20:愛でたく1億5000万円を達成して、ストレッチゴールが発表されました。目指せ三億円!

追記4/29:ミニシアターエイド基金が2億円を突破しました(目標金額の210%)。

追記5/13 : ‪明日までですね。2億9000万円まできました。行くか3億?‬

追記5/16:最終日5/14に3億円を突破したことで、さらにアクセスが殺到しサーバがダウン。復旧にかなりの時間がかかったため翌日5/15まで延長される。この歴史に残る「三億円事件」(笑)を経て、めでたく合計金額は約3億3千万、支援者約3万人という結果となったようです。


 

※以下の「仮設の映画館」のエントリーでも紹介しました

想田和弘『精神0』@仮設の映画館プロジェクト:上映文化の存続のための「映画の経済」 - phoiming

 

 

 

 

ミニシアターをつなげた熱量

「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」は、映画監督の深田晃司濱口竜介やMOTION GALLERY代表の大高健志プロデューサーらが発起人となって立ち上げたクラウドファンディングです。コロナ経済危機に対してはこれまでにも、ミニシアターが各自で行っている支援策は少しずつ数が増えてきていましたが、小規模館をつなぐものになった点に勝機があったのではないでしょうか。

各ミニシアターやインディー系の作品それぞれには特にコアなファン層がついています。一方で、例えばマーベル作品や京都アニメーションのようにそれ単体でファンの絶対数がそれほど多くない場合には、ミニシアターの各館それぞれについているファンの支援では大きなムーブメントを起こすほどにはならなかったのかもしれません。各館独自で留まっていた熱量を、横でつないで(窓口を一元化することで)活性化したことが、この短期での成功へと導いたように思います。

 

参加してみてわかったのは、その仕組みの素晴らしさです。以下、それを解説してみます。

  

「単なる映画マニア」にも嬉しい設計

公式サイトにも、「寄付」ではなく一人ひとりが自分の状況に合わせた「ちょっとした支援」をできるようにするためにクラウドファンディングにしたと説明されているように、「自分の状況に応じて」「ちょっとした」関わりができるようになっています。

身も蓋もないようですが、私たち映画ファンがプロ・業界の人たちと「関わり」を持つ一番のチャンネルは「売買」です。チケットやDVDを買って、作品を楽しむ。このチャンネルは最も多い道筋です。クラウドファンディングでは、これは「リターン」という形で提供されます。

今回のものでもリターンがある支援オプションを選べば、チケットや作品ストリーミングなどが用意されていて、要はそれらを購入するのです。実際コアな映画ファン層にしてみれば、この「元が取れる」分を差し引いて考れば、純粋な「寄付」の部分はほんの気持ち程度でも参加できる価格設定になっています。以下では具体的に見てみましょう。

 

例えば5000円コースの場合リターンで次のような特典があります。

皆さんはどう思われるでしょうか?

 「希望する映画館のチケット1枚」
 「4本分をストリーミング再生(1年間)」

劇場で一回観賞して約2000円、一本当たり700円のストリーミングを四回観たと考えると、ほとんど元が取れると感じられませんか? さらに間口が広いだけでなく「天井」もまた高く、その参加の度合いは一口3000円から五百万円まで(!)と、幅広く設定されています。

 

さらに、ストリーミングされる「サンクス・シアターの映画作品リスト」は、コアな映画ファンにとっては超がつくほど豪華なラインナップです。なかなか劇場ではかからなくて、僕も数年来観たかったような作品もたくさんありました。例えば『バンコクナイツ』(富田克也)や『親密さ』(濱口竜介)、さらには『この世界の片隅に』の未公開ドキュメンタリー(片渕須直)というレアなものもお蔵出しされています。

(このエントリーの文末にリストを添付しました)

つまりこのプロジェクトは、映画「館」自体への思い入れとかには関係なく、単にミニシアター系映画作品を愛するだけのマニア層にも非常にアピールが高いものだと思うのです。

 

各劇場へのファンの帰属感と経済互助

とはいえやはり、ミニシアターという「場」自体に思い入れがあるファンたちにとっては、それ以上の高い価値を感じます。自分の映画への想いを、直接関係者や公に示すことができるまたとない機会になるからです。公式サイトにも、「自分はミニシアターの『(ちょっとした)支援者』になるんだという意識を持っていただきたいと思っています。『映画文化の多様性を守る』一員になる、なれる、ということが、このプロジェクトの一番の対価です。」と説明されているように、こうした参加意識が主眼とされています。

カルチャーへの愛を示す、というのはファンにとって結構難しいことです。映画館でいえば、よく行く劇場に多少なりとも帰属感を感じていても、普段はそういうことができる空間ではないのではないでしょうか。多くの日本の映画館では、イベントで関係者とつながって声をかけたり、来場者同士が社交するようなシステムはあまり採用されていません。会話一般のコミュニケーションについて言っても、特に都市部ではその場で偶然知り合った人同士での交流は生じにくく、人とつながるような空間としては機能していません。

それが、このクラウドファンディングの仕組みでは、リターンのチケットを使う劇場を選ぶという形で、実質的な経済支援の効果と帰属意識の醸成とを、うまくつなげています。映画のファンには自身のブログで観た映画の感想・批評を綴っている人がとても多いですが、これは、ウェブ上で発信することで敬意や愛を示している一種の儀礼的行為なのではないでしょうか。この信仰にも似た気持ちを、直接に制作者や映画館という「聖体」へと伝えるチャンネルができたことは、ファン(信奉者)にとっても生きがいになるほど嬉しいことなのだとも思います。クラウドファンディングで支援したとツイッターなどで発信・報告することは、支援をされる側にとっては企画が盛り上がることだし、支援する側にとって帰属感=信仰心を伝えることができるというウィンウィンな仕組みとなっています。

企画の一義的な目的は、新たな競争を生むことではなく、ミニシアター文化を維持存続することです。ここには「運営団体あたり平均150万円の分配」という目標に近づけるため、配当のバラ付き(不平等)を防ぐための仕組みもあります。まず、支援者がチケットを選択した劇場に枚数分を支払い、残りは全部の劇場で分配することになっています。そして、チケット金額総額の半分は、各配給会社に分配されるようにもなっています。以前紹介した、想田和弘監督の仮設の映画館プロジェクトで「映画の経済」がヴァーチャルに再構成されていたのと同じように、ミニシアター文化を守っていくためにそれぞれの立場の人たちが損をしないように丁寧に考えられた仕組みになっています。

濱口監督はこの基金のことを、「『余裕のある人』が少しだけ、現時点でそれの『ない人』にシェアする」という「劇場や関係者がまとまった公的補助を得るまでの『つなぎ』」だと説明しています。このネットやクラウドファンディングなどを生かした「つなぎ(バッファ)」を作る基金は、一種の信用金庫(やその起源となった頼母子講・無尽)などに近い互助のシステムを、現在うまく機能させることに成功したのかもしれません。

平時以上にファンの帰属感を作れたという点では単なる上手い経済作ではありません。コロナ禍の経済苦境を乗り切れば、もっと長期的な視野でファン層の帰属感も高まっていくことも期待できます。これら文化と経済をつなげた点にも鮮やかさを感じます。 

 

自分にとっての「映画」とは何かを振り返る機会になった

深田監督が、日本を訪れた世界の映画人が口々にミニシアター映画文化に驚くのだと紹介しています。そしてそれが「民主主義・多様性」を守るものだと解説しています。心を動かす明晰な言葉を、そのまま引用します。

そもそもなぜ、映画の多様性が守られるべきなのでしょうか。その方が面白いから。それも大事ですが、さらにひとつ理由をあげるとすれば、それは民主主義を守ることにつながるからです。民主主義の本質は多数決ではなく、いかに多様な視点を掬い取り社会設計に取り込んでいくかですが、そのためにはまず、多様な価値観が社会に可視化されてなくてはなりません。耳に届かない声、目に見えない感情を可視化するのに、文化芸術の果たす役割はとても大きいと言えます。ある作家がカメラで世界を切り取り人間を捉え、そこにはいない誰かへと届けることのできる映画もまた、世界に多様性をもたらす強力な表現のひとつです。

こうした「想像力を育むための強力な武器」としての映画。これはいわゆるミニシアター系に限られるものではありませんが、今回自分の過去の映画遍歴を振り返ってみて、ミニシアター文化がこれまでの自分を育ててくれたのだと改めて思いました。それを「民主主義」であり「多様性」と呼ぶと、多くの人には抽象的すぎて僕の思うところが伝わらないかもしれません(自分の中ではしっくりくるのですが)。

あえて言い換えるならば、自分と異なる存在を大切にしつつ共存すること、そのためには「知ること」「見る/観ること」が重要であるということ。しかしそのまなざしには暴力があることを自覚し、自省した上で、「見ること」は愛すべきものだと考えるということです。映画を始め、芸術や文化とは、本質的に孤独なものであり不可避に暴力を含みますが、その一方で、他者への想像力を育むための有効な手段です。すべての人々が、お花畑=ユートビアに住むことができるわけではないのです。できうる限り多くの人が、千差万別のやり方で豊かな想像力を育むことが、ユートピアという名の画一化した社会でもなく、独善的でヒエラルキーが内在化された世界でもない形を作るのだと信じています。そんなことを思いました。

コロナの「禍(=人災)」の経済苦境のなかで、映画館、配給や製作陣の皆さんは本当に大変かと思います。そんななかで不謹慎なのかもしれませんが、実際この企画は、自分のなかの「ミニシアター」や「映画上映文化」の意味について振り返るとても楽しい機会ともなりました。映画は、いま自分が持っている想像力を培うものなのだと再確認しました。

 

選んだ5館

どこを選ぶか迷ったのですが、次の劇場を選びました。選ばなかったからといって大切ではないということではもちろんなく(笑)、これまでの自分の映画遍歴を振り返ってみて、自分の中にあるいろいろを作ってくれたという基準で選びました。あとは、住んでいた地域や感覚など人生の時期によってやはり性向が変わりますね。岡山で過ごした高校時代に種を巻いてくれたシネマ・クレールに感謝します。

 

シネマ・クレール(岡山) 
シアター・イメージフォーラム(渋谷)
ポレポレ東中野
アップリンク吉祥寺
アップリンク渋谷
下高井戸シネマ

 

他分野のモデルとして?

このクラウドファンディングは映画ミニシアターの例ですが、現在疲弊しているのはそれだけでは勿論ありません。演劇、音楽や飲食業など今現在目立つだけでも様々な隣接領域の悲鳴が聞こえてきます。このファンディングは、そちらでも成功モデルとして参考にできるのかもしれません。

運営サイトのモーションギャラリーにも、音楽や飲食業のプロジェクトもまとめられています:

https://motion-gallery.net/blog/suportprogram

 

その他メディアでの紹介・資料

「新型コロナウイルスの影響で休業の相次ぐミニシアター。経営支援のための『ミニシアター・エイド基金』の発起人、映画監督の深田晃司さんに話しを聞く」深田晃司監督×荻上チキ(TBSラジオ・Session-22)2020年4月13日(月)放送分

ミニシアターエイドについて、ラジオ音声でも聞けます。深田監督が出演されてお話しされています。

 

キャンペーン · #SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクト · Change.org

ミニシアターエイド基金が終了した後は、この活動がプラットフォームとなるそうです。現在こちらは、日本政府へのミニシアターへの支援要請の署名のみを行っています。

 

Spotify - ポッドキャスト MotionGalleryCrossing (モーションギャラリークロッシング)

代表の濱口・深田両監督がポッドキャストでアップデートについて話しています。

 

以下のラジオ/ポッドキャスト番組ではミニシアター文化の意義と魅力がよくわかります。

「年表 ミニシアター小史 ~東京を中心に~(作・ミルクマン斉藤)全文公開、音声あり」『アフター6ジャンクション』2020.4.27 

「ミニシアターの歴史とみんなの思い出【宇多丸×入江悠×三宅隆太】」『アフター6ジャンクション』 2020.4.22

2020年4月28日(火)「たまむすび アメリカ流れ者」町山智浩さんが「ミニシアターエイド基金」、「仮設の映画館」とその初回上映作品『春を告げる町』を紹介しています。) 

 

サンクス・シアターの映画作品リスト

【5/15更新。pdfが最終版です】

https://minitheater-aid.org/pdf/MTA_thankslist_0514re.pdf

公式サイトにある通り、濱口・深田両監督の貴重作や、空族の富田克也監督の 『バンコクナイツ』、片渕須直監督のショートなどがみどころでした。

加わったラインナップでは、さらに片渕監督の新作中編、想田和弘監督の初期作の劇映画(!)、瀬々敬久監督によるバンド頭脳警察のドキュメンタリーなど。矢内原美邦さんの劇団ニブロールのドキュメンタリーや、現代美術家の藤井光さんが福島県南相馬市で閉館した映画館を協働的に撮影した『ASAHIZA』など、狭い意味での映画に限らない作品も相当貴重。最近観られていなかった加藤直輝監督、横浜聡子監督監督の作品に触れられるのも嬉しいです。

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『ギャルソンヌ -2つの性を持つ女-』(穐山茉由)/『自由を手にするその日まで』(天野友二朗)/『1人のダンス』(安楽涼)/『息を殺して』(五十嵐耕平)/『人コロシの穴』(池田千尋)/『海へ行くつもりじゃなかった』(磯部鉄平)/『花に嵐』(岩切一空)/『遭難フリーター』(岩淵弘樹)/『「カメラを止めるな!リモート大作戦!」特典映像(未公開映像&監督キャストのメッセージ動画)』(上田慎一郎)/映画美学校修了作品・実習作品(予定)/ 『帰郷プレスリー』『22/3ドーナッツ』(柄本佑)/『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(太田信吾)/『ウルフなシッシー』(大野大輔)/『OUR CINEMAS』(小田香)/『Start Position(未公開)』『Our Next Work』(片渕須直)/『名操縦士』『いっちょらい』(片山享)/『BLOOD ECHO』(加藤直輝)/『光』(金澤勇貴)/『shadow』』『見えない』『behind』(川中陸)/『がらんどう』(川原杏奈)/『seesaw』(完山京洪)/『つむぎのラジオ』(木場明義)/『螺旋銀河』(草野なつか)/『Novels Picaresca (ノヴェラピカレスカ)』(倉田健次)/『コンシューミング・スピリッツ』(クリス・サリバン)/『おもちゃを解放する』(酒井善三)/『阿呆の舞』(坂田貴大)/『戻る場所はもうない』(笹井歳春)/『熱海の路地の子』(佐々木誠)/『モラトリアム完全版』(澤佳一郎))/『ECHO』『私は知ってる、私は知らない』『劇場的、かつ遊戯的なもの』『消えた祭り』(澤田サンダー)/『Dear』』(品田誠)/『あいが、そいで、こい』(柴田啓佑)/『N.O.A.』『N.O.A. -オーディオコメンタリー版-』『部屋と冷蔵庫と私と(シネマスコーレ版)』(下向拓生)/『23話目』(小路紘史)/『ひかりの歌』(杉田協士)/『ジョギング渡り鳥』『All Night』(鈴木卓爾))/『2/デュオ』(諏訪敦彦)/『8.14, 2330 ー最後の空襲、熊谷ー』『IVAN IVAN』(関根光才)/『あとのまつり』(瀬田なつき)/『シミラーバットディファレント』(染谷将太)/『チャーハン』『父、かえれ!』武石昂大(武石昂大) / 『純子はご機嫌ななめ』『Selfish.(ButKind)』(谷口雄一郎) / 『この世で俺/僕だけ』(月川翔)/『PEEP “TV” SHOW』『タリウム少女の毒殺日記』(土屋豊)/『ハーメルン』(坪川拓史)/『Every Day』(手塚悟)/ 東京藝術大学修了制作・実習作品(予定) /『NOT LONG, AT NIGHT −夜はながくない−』『冬の蝶』(遠山昇司) /『この音が聴こえているか』(戸田彬弘) / 『バンコクナイツ』(富田克也)/『ランチボックス』(中神円)/『尊く厳かな死』(中川駿)/『蹴る』『MARCH』(中村和彦)/『西北西』(中村拓朗)/『神宿スワン』『したさきのさき』(中山剛平)/『お嬢ちゃん』(二ノ宮隆太郎)/『talk to remember』(野原位)/『映画の妖精 フィルとムー』(秦俊子)/『PASSION』『THE DEPTHS』『天国はまだ遠い』『永遠に君を愛す』『何食わぬ顔(long version)』『親密さ』『不気味なものの肌に触れる』(濱口竜介)/『高校生日記』『☆スターとレッくん☆』(東野敦)/『一生で一番長い九分』(菱沼康介)/『とまってはみたけれど』(平井諒)/『椅子』『東京人間喜劇』『自転車と音楽』『歓待1.1』『ほとりの朔子』『鳥(仮)』『ジェファソンの東』(深田晃司)/『彼は月へ行った』『見栄を張る』(藤村明世)/『世界は彼女のためにある』(保坂大輔)/『ありがとう、お母さん』『恐竜いらない』(本田雅英)/『ケータイの中の山田』『愛をこめて壁ドン』『アキスカゾク』『UNDER M∀D GROUND』(松尾豪)/『さらば大戦士トゥギャザーV』(松本純弥)/『イエローキッド』(真利子哲也)/『スパイの舌』『長浜』『八月八日』(三宅唱)/『親知らず』(宮嶋風花)/『夜、逃げる』(山田佳奈)/『おとぎ話みたい』(山戸結希)/『おやすみ、また向こう岸で』(監督:山中瑶子)/『うつくしいひと』(行定勲)/『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』『おばあちゃん女の子』『お茶と真心』(横浜聡子)/『たちんぼ』『はめられて Road to Love』(横山翔一)/and more…!

 

#SaveTheCinema

#ミニシアターエイド