2012-01-01から1年間の記事一覧

「10年遅れた日本のアート界」の象徴としての丸木位里「原爆の図」

「10年遅れた日本のアート界」の象徴としての丸木位里「原爆の図」:Chim↑Pomキュレーション「ひっくるかえる」展@ワタリウム美術館 http://www.watarium.co.jp/exhibition/index.html例の岡本太郎「明日の神話」への「加筆」事件で有名になったChim↑Pomキュ…

宇宙開発/開拓史と食:スタートレックとスターウォーズ

睡眠学習(=サブリミナル)ネタ2。宇宙食の発展について。ワインやビールを無重力で飲むだ(ビールはむずいらしい)とか、ソ連とアメリカの宇宙食の開発の違いとか。宇宙開発/開拓史と食事の関係は、立派なフードスタディーズののネタになりそうだ。 http…

アノニマスと仮装と変装

ウェブサイト攻撃や「祭り」による問題の顕在化などオンライン上で反権力的な行動をとるハクティヴィズム(=ハッキング+アクティヴィズム)集団アノニマスによる渋谷の清掃運動が行われた。今回の行動は、直接には6月に可決された「違法ダウンロード刑罰化…

TACO USA, SLEEPING FOOD STUDY

朝から不思議にタコスが食べたいなあと思っていたら、目覚まし代わりにかけていたラジオ番組でこの本を紹介する特番がかかっていたことが判明(ネットラジオなので数時間毎に同じ番組がかかる模様)。サブリミナル効果…。 Taco USA: How Mexican Food Conque…

安世鴻による元従軍慰安婦写真展@新宿ニコンサロン

先週行って来ました。小さなギャラリーにセキュリティが10名弱、空港並みのセキュリティチェック、普段のニコンサロンで出来ることへの規制(廊内写真撮影、チラシ配布、カタログ販売)となかなか辟易な状況です。人権系の活動団体の方々がボランティアでス…

チョコレート・ミリタリー・ビジネス:『チョコレートの帝国』

Joel Glenn Brenner, "The Emperors of Chocolate: Inside the Secret World of Hershey and Mars." Ramdom House, 1999(ジョエル・ブレナー『チョコレートの帝国』みすず書房、2012年).チョコレートの帝国作者: ジョエル・G・ブレナー,笙玲子出版社/メー…

「当たり前に生きる」ことの脆さ:ワン・ビン(王兵) 『無言歌』

当たり前に生きることとはこれほど難しいのか。本作の舞台は1960年、中国西南部の荒地。文化大革命前、毛沢東は自由な批判を受け入れるとして「百花斉放・百家争鳴」の運動を推進した。しかし、それに従って政府・毛沢東を批判した人々は、翌年徹底的に弾圧…

和風・純アメリカなるもの:三谷幸喜『君となら NobodyElseButYou』

三谷幸喜脚本による1995年の舞台。二年後に再演。共にパルコ劇場。抱腹絶倒のシットコム。当時のコピーがニューヨークタッチの純和風お茶の間ホームドラマ。 親子ほどの年上の恋人をつれてきた娘が家庭に巻き起こす 騒動をアップテンポに描く。とある。当時…

水、動植物、民間療法は誰のものなのか:Irena Salina『FLOW』

ある機会に、水ビジネスについてのドキュメンタリー、『FLOW For Love of Water』(Irena Salinaイレーナ・サリーナ監督、2008)を『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』(TOKYO MX)で観たのを思い出す。 近代のインフラ開発事業以後、世界中の水は、わずか3社…

インディアンマスコット論争、パロディと対抗言説、年始の「祭り」

以前、アメリカの大学にはそれぞれマスコットがあって云々という話をした。 スカンクだったのをわざわざ止めてまで黄色ナメクジを選んだUC Santa Cruiseはばかだなあ、という笑い話ならまだいいけど、マスコット化されまくっているネイティヴ・アメリカンの…

郊外論と当事者性:サイタマノラッパー、サウダーヂ、ひかりのおと

作品評ではないのだけれど、「ひかりのおと」を観たあと考えたけど書ききれなかったことを備忘録的にまとまりなく。●「地方郊外」発の物語と当事者性 こうした流れは、ジャーナリストや学者たち「中心」の立場から地方を「周縁」化する言説に対して、当事者…

山下敦弘・Q.B.B. 『中学生日記』

先の『ひかりのおと』のエントリーで考えたことはなんだろうとふと考えてみたんだけど、「観客がどういう立場で映画を観るのか。そのことを制作者はいかに設定(ないし操作)できるのか」ということだろうか。エントリー書きながら実家にDVD持って帰ってきて…

「ドキュメンタリーなるもの」の力:山崎樹一郎監督『ひかりのおと』

山崎樹一郎監督による長編デビュー作『ひかりのおと』(2011)を観た。トマト農家を営むかたわら5年以上温め続けた映画の構想は、監督自身が住む岡山県真庭市を舞台にした酪農家のホームドラマとして結実した。過疎地域で酪農を営む一家を描きながら、若年世…