Sabb Day 98

20240914
Sabb Day 98
London(UK) 94
Dalston, London(UK) **
Brixton, London(UK) 37
Fulham, London(UK) 27
Birmingham(UK) 03
Manchester(UK) 03
Bristol(UK) 02
Paris(France) **
Tours(France) **
Bordeaux(France) **
Helsinki(Finland) **
Rappenranta, (Finland) **
Philadelphia(US)
 
 ロンドンのハイドパーク、「公」園で考える。
 
 気持ちの良い公園にランダムに置いてある気持ちの良い椅子は、1時間あたり一人4ポンド(800円ほど)のレンタルだと看板に書いてある。支払い方もわからないのでひとまず座る。しばらくすると、雇われている誰かがマシンを持ってきてクレジットカード払いを迫る。3名で座っていたので12ポンド払う。知ってか知らずか、我々と同じように座っている人たちは、支払うかと問われ多くの人はその後椅子から地べたに移っている。この公共空間にいるだけなら、お金はかからない。椅子に座ると、サービスを受けることになりお金を払う仕組みになっている。この12ポンドは、この心地よい芝生を綺麗に保つためのものであるとすれば、無料で地べたに座って楽しんでいる人たちへと循環するということになる。
 
 その近くにあるスピーカーズ・コーナーにいく。誰もがここにくれば自分の意見を公に喋ることができる場である。ハイドパークはその起源であり、イギリスの各都市、オーストラリアやニュージーランドや香港など、コモンウェルスいわゆる大英帝国圏の地域には設置されているものだ。議会が設置したものではない市民が自主的に設置したものもリーズなど各地にあったり、自発的なものをある種「官」が管理するために設置したりとその事情は単純ではないものの、この「違法でなく暴力沙汰にならない限りにおいて自己責任で公的な発言をあらゆる人々へ担保する」という仕組みは、象徴としての「表現の自由」を社会が大切にしようとする姿勢が見て取れる。毎週日曜日の開催である。たとえばプロ・パレスチナのような政治マターや社会運動家の発言はもちろん、クリスチャンの福音や非常に危険な排外思想まで様々な人々がその場でランダムに現れ発言ができ、原理的にはあらゆる人々が自由に意見を公的に伝えることができる。他方でヤジを飛ばす自由もあり、これはオーディエンスとの交渉が起こるチャンネルにもなっているはずである。
 
 一方、少し西のサーペインタイン池に歩くと、イベントのため通行止めになっている。トライアスロンの大会があって通行人を厳しく規制管理している。とある中高生の自転車キッズたちが集団で現れる。そのうちの一人が、自転車を抱えて通行止めにしている柵を越えてまで強行しようとする。係員は焦り、けっこうな口調で(丁寧であるが)、止める。止められた青年は再び別のところから入ろうとする。止められる。迂回路に指示された方向へ行く、と見せかけてまた通行止めのテープを越えて入ろうとする。他の仲間は付き合いきれなくなったか、皆は迂回路へ向かうが、彼は果敢にまた「線を越え」ようとしていた。禁じられることへの抵抗である。それも公的な場所における移動を制限されることへの抵抗である。
 しつこく彼が「自由」を求める意思を応援したくなった。