Exaggeration of His American Patriotism: Guggenheim Museum

家の掃除や洗濯、片付けを済ます。新しく合鍵を作ったり砥いだりもしてみたが、相変わらず鍵の問題がうまくいかない。この問題はひとまずおいておいて、グッゲンハイム美術館へ。

●Guggenheim Museum

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・"Maurizio Catteran: ALL"

イタリアのマウリチオ・カテランの初のレトロスペクティブ。Nancy Spectorの企画。(彼女はMatthew BarneyのCremaster cycleや杉本博司、Tino Sehgalなんかの企画をしている)

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本当にキュレーションがうまくて感激した。

グッゲンハイムの螺旋状の展示空間を全て無視して、真ん中の吹き抜け部分だけを使う。Catteranの各作品を吊してひとかたまりにして展示している。展示物はこれのみ!

キャプションパネルも一切ない。情報面をサポートするのにReading RoomやLABと名付けられたPCブース、資料室が設置されている。iPadのAppで本展覧会の概要・コンセプトや関係者へのインタビュー映像などが観られる。作品も展示風景さながらに画面で見られ、各作品にクローズアップが可能。

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Appは観客各自のデバイスにも有料でDL可能。iPodで$3.99, iPadで$5.99だから電子カタログだと思えば非常に安いと思う。

http://www.guggenheim.org/new-york/exhibitions/on-view/maurizio-cattelan-all/...

 

また、電子媒体の利点を生かした"App"に対して紙媒体のカタログはなんと事典のパロディ。全体のデザインが出来すぎている。

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展示室では、壁面という外側の方向ではなく内側へと観客の視線を集めることに成功している。この日は無料で入れる日ということもあってすごく人が多かったけど(自由にドネーションを決めてね、という曜日が設定されている)、観客全員が一つのものを観ているという現象はそれ自体かなり強いインパクトを持つ。写真撮影可にしているところも、この観客の「まなざし」それ自体を展示の一要素として構成することに一役買っている。グッゲンハイムの建築の特質をバッサリ捨てたところも潔い。

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また、展示方法は視覚効果としても非常に効果的。吊るすことで、あらゆる方向から観ることができる。それによって視角、視ることのできる角度が過剰に増すことで、「あ、こんな風に見られるのか」と異化作用が起こる。これはマウリツィオ自身の作品のテーマと共鳴している。なんというか、"ALL"というタイトルが皮肉に響いている。

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展示設計中の映像がおもろい

http://www.guggenheim.org/new-york/exhibitions/on-view/maurizio-cattelan-all

 

その後、Gregのイエール大学時代の同窓生のホームパーティに。事情もわからず呼ばれて参加する。結婚パーティも兼ねたものらしい。なんかハロウィンに当てこすった"Exaggeration of Myself"(註:ハロウィンは「自分と全然関係ないものに仮装する」のに対して、「自分のある部分を過剰に演出する」)というテーマの仮装パーティらしい。インテリ集団っぽい遊び。

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例えば"Brooklyn's Hipstar"とか"American Girl"とかなんかそんなふうに名乗っている人達がいた。Gregはというと、イーグルのエンブレムのついたゴーグルで愛国主義者を気取っていた(笑)。Blues Springsteenの音楽を爆音でかけてご満悦。しかしその場にいる僕とGreg以外、誰一人としてSpringsteenを知らない(!)ということにかなり驚いた。まあ確かにヒップなラジオ局ではかからないし、単なる懐メロなのね。

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ホストのサニャがYale⇒Harvard⇒MiTと凄い学歴の持ち主なので、そこにいる人達はほとんど将来・現在の財界人なんだろうという話。経営学専攻などほぼ全員経済系のインテリ集団という感じで、良くも悪くもあんまり文化の話に心から盛り上がるノリはなかった。食事とか音楽とかアートとか日本文化とかジェンダー論とかいろんなアプローチで話振ってみても、「ふーん、あるよねそういう面白い話」って反応だった。すごくいろんな話にみんなついてくるんだけどねぇ。

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どんどん密度が上がっていく空間で、社交のパーティにうまく馴染めずソファで寝入ってしまう。起きてサニャに謝ったら、"可愛くexaggerateしてたわよ"って言われて恥ずかしい。。。

 

このままだとまた眠りそうなので、寝惚けた頭で、明け方の地下鉄で自宅まで帰る。

そうだ使える鍵がない。家に誰もいない場合開けておいてくれる手はずだったがドアが閉まっている。しばらく茫然とするが、Anthonyは真昼間のように起きていた。彼は夜型のようだった。