朝までスーパーアカデミック: MoMA

今日も朝のうちは休んで体調を整える。昨日は食べすぎて、お腹は胃もたれもいいとこだと思ってたら意外に調子がいい。

夜はニューヨーク出身の友達Gregと再会する人類学を専攻していた彼らしく、明確に「文化を伝える」ためにいろいろな食文化を紹介してくれる。ここはアメリカだから、とホストになってくれようとする。

夕食のお店の連絡が入る。マンハッタン唯一のシリア料理のお店らしい。中東時勢も読んでのことか、彼らしい。

  

金曜日は入館料が無料のミュージアムが多い。約束の前に夜をぷらぷら、MoMAに立ち寄る。

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MoMA

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コレクションの構成は、3月に訪れたときからほとんど変わらず。多少作品が変わったりしている程度。

 

・Harun Farocki "Images of War (At a Distance)"

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戦争の現実がヴァーチャルリアリティ(仮想現実"感")によって出来上がっていることを暴く作品。アメリカ軍が軍事作戦シュミレータで練習をしているが、その様子は精度の高いビデオゲームのようで、ほとんど「バイオハザード」のよう。美術品というよりドキュメンタリー的要素が強い。

  

・"Thing/Thought/Fluxus/Editions"

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フルクサスの出版事業を中心にした展覧会。資料の展示的な側面が強い。よーく読まないと作品それぞれの意味やコンテクストも見えてこなかったので少し残念。とはいえフルクサスの手作り感とナンセンスとこじんまりとしている感じが、とっても自分のツボ。 

  

・"de Kooning"

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デ・クーニング大回顧展の趣。件の有名な女性像のシリーズが比較されると、変遷も、意外に一点一点写実的に特徴を捉えているものだということもわかって勉強になった。伝統を非常に重んじた上でアヴァンギャルドをやったという、近代美術のお手本のようなひとらしい。

また、実は模索した上ですごく早いスパンで描写スタイルを変えてきたらしく、後期の抽象もよかった。

ロランバルトの手遊びのドローイングを思い出した。
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ひと周りして約束に向かう。Broadwayにほど近いGazala Place。

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彼のたっての希望で今日もラムを食す。ほろほろ。お酒は飲まず、ハーブティを合わせるがこれが肉らしい肉にとても良く合う。ひよこ豆のペーストやパセリのサラダもなかなか美味しい。

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お酒を飲もうと別の場所に。Grand Central Stationに。

禁酒法時代に富豪がプライヴェートで作ったバーを改装したお店Campbell Apartmentがあるというので紹介してくれる。混んでいてゆっくり話もできそうにないので、雰囲気だけ見て退散。マイケル・ジョーダン経営のバーが駅ナカにあって、吹き抜けの駅構内で飲むのは贅沢な感じがしたが、店員の態度が悪くて別の場所を探す。
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結局近所にあるBookmarksという書斎風バーに。屋根裏に作ってあるような素敵な雰囲気。よく作られたカクテルも非常に美味しい。

 

アメリカにおいては細くて小さく見えるだろう僕ら二人がゲイのカップルに見られたかどうか、みたいな話をしていると、彼は欧米社会にあるような主体性・独立心・個人の重視にそれほど固執しなくなっているようなことを言っていた。日本に慣れすぎたかなとか笑ってたけど、時に執着するほどに自己の独立にプライドを持つことは、「優しい」社会の日本では難しいのかもしれない。

 

アパートに戻って飲み直す。ここからまたいろいろな「アメリカ」を教えてくれようとする。スーパーでNY地ビールを買って、彼は酒の肴に甘いもの、パンプキンドーナッツを選ぶ。さらに南部料理のファストフード店でビスケットを買ってくれる。これが「ホンモノのアメリカ料理」、らしい。ビールに甘いものも意外に合うと感じたのは、彼がホンモノを教えてくれようとしたからかな。

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次の日彼が友達に話して曰く。

僕らは「アメリカ社会」についてsuper academicな議論を朝まで続けた。