「10年遅れた日本のアート界」の象徴としての丸木位里「原爆の図」

「10年遅れた日本のアート界」の象徴としての丸木位里「原爆の図」:Chim↑Pomキュレーション「ひっくるかえる」展@ワタリウム美術館


http://www.watarium.co.jp/exhibition/index.html

例の岡本太郎明日の神話」への「加筆」事件で有名になったChim↑Pomキュレーションによるアートアクティヴィズム的表現の展覧会。ロシアやフランスなど海外勢も加えつつ、他の作家はすべて現在の作家であったが、象徴的に丸木位里・俊の「原爆の図」の1955年当時の展示風景の編集フィルム、そして巻物の作品の入っていた「箱」が展覧会の入り口に象徴的に設置されている。

アートが政治的な有効性をなくしたと言われて久しい状況で、社会への「介入」を試みている現代のアートアクティヴィストたちに類する社会的影響力を持った過去の作家は「原爆の図」という語りである。「日本のアートは10年おくれている(そして世界のアートは7〜8年おくれている)」と挑発する彼ららしい。こうしたテーマだからこそ、社会からの反応が同時に解説されていると、「アート」それ自体が立体的に見えてよかったのではないだろうか。