National Museum of the American Indian. National 911 Memorial, New Museum of Contemporary Art

一件ごとに時間をかけた割になんとか三件ミュージアムを巡れた一日。

 

●National Musuem of the American Indian

スミソニアンによるネイティブ・アメリカンの文化/芸術をテーマにしたミュージアムで、 DCにある巨大なミュージアムの姉妹館。こちらも建築は大きいが、 それほど展示面積は広くない。三つのギャラリーがメイン。

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現代におけるネイティヴ・アメリカンの政治的正しさ(Political Correctness)を、穏健に表象したような教科書的なミュージアム

展示は、歴史的背景の説明と過去の悲劇的な事件などを扱う第一ギャラリーから、民族学的な第二ギャラリーへと進んでいく。そこでは「アイコンの力」を謳って宗教的・人類学的文化を強調する一方で、ほらそこには「美学的価値」があるでしょと美術史的な解説なんかを加えたりしている。ネイティヴ・アメリカンは、社会集団の培ってきた伝統的な「文化」としての価値のみならず、欧米美術に代表される個人・主体の才能が評価される美術というモダンな文脈での価値も持っている、というわけだ。

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さらに第三のギャラリーにはいわゆる「現代美術」的なスタイルの作品が集めてあって、インディアンの文化は 過去でも エキゾチックでももちろんなくて、多様でモダンなだけじゃなく現代的な現在進行形のものなんだよって言わんばかり。

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本館名称の「ネイティヴアメリカン」には中南米インディオが含まれることもこの展示の肝だ。植民地支配によって英語・スペイン語の「インディアン/インディオ」として分断された存在をつなげて捉える。常設展のタイトルInfinity of Nationsのnationが複数形になっているのも、ポストコロニアルなまなざしから歴史を捉え直す意思の表れだろう。

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こういうわかりやすいメッセージで、基礎的な理解の枠組みを伝えるための教育施設という趣。この日も子供たちの社会科見学がたくさん行われてたんだけど、非常に使いやすいのはよくわかる。

また、iPodにインストールされたアプリを作ってあって展示の解説が聞ける。音声での解説はどうしても展示物を見た後になるので、ワンクッション作りやすい。文字パネルのキャプションではなく展示物の鑑賞に一旦集中させた上で、その後でキャプション(音声ないしパネル)を見せるという設計が可能。ただ、アプリ作るとこまではがんばったのはよくわかるんだけど、見なくちゃいけない場所がモニターと展示で二重に増えていて情報過多で順序がうまく設計されていない。展示物の鑑賞経験を阻害していた。

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しかし、こういうお決まりにいいこちゃんな(PCな)語りのみでは、現代社会に生きるネイティヴアメリカンの姿は見えてこない。それこそ決まり切った新たな紋切型を提示することに陥っているのは残念。

 

●National 911 Memorial (& Museum)

今年の9月12日に事件から10年を記念して公開された911のメモリアル。設計はMichael AradとPeter Waker。建設中のThe Freedom Towerの高さを合衆国独立年にちなんで1776ft.にしてみたりと工夫が凝らされている。

(AradはNYロングアイランド郊外のParrish Art Museumヘルツォーク&ド・ムーロンと共に設計したり、Walkerは旭川播磨、埼玉とかでアーバンデザインとかしてるひと)

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予約制で入館料はドネーション制(自分で設定して好きなだけ払う。$0も可。)。土日はすでにけっこう埋まってるらしくウィークデイなのに大行列をなすほどだった。工事中のエリアの間の通路を抜けて進む。早くも超観光地になる予感で「メモリアル」(プールのモニュメント、ベンチ、植木などの公園)は写真撮影会のようだった。

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ごく稀に涙を流してクロスを切っている人もいて、ここはやはり「墓」なのであって喪に服し、忘れるためにこのメモリアルは在るのだということを改めて思わされる。それくらい俗悪なムードの場所になっていた。

こうした違和感のなかで、モダンさがかえって居心地の悪さを生んでいた。

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見学ルートの行き着く先は無論ショップなのだけど、カタログの会計をレジで済ませた後、突然ドネーションを迫られてギョッとした。ボックスに2ドル入れた。

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美術館の入館料にしても、理念的に「奉仕で無料」というタテマエを重んじるから「ドネート」の概念がおかしなことになっている。しかしプラクティカルにはこのやり方のほうがお金集まるだろうな。

 

●New Museum of Contemporary Art

CARSTEN HOLLER ”Experience”

本当かどうか知らんけど、科学者になるのをやめてアーティストになったと解説されているドイツの作家。

眼に楽しいような科学的な効果を使い、観客に空想的な体験をさせるのが手法らしい。

でんじろう先生がテレビタレントじゃなくてアーティストになった感じ。

 

例えば回転木馬と鏡の組み合わせ

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ギャラリーをぶち抜いて滑り台を設置

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入浴室。兄ちゃんが入浴客の裸覗き見してた。気がつかずに雑談してたら頭上にお尻が現れて仰天した(笑)。

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こういう体験型の手法は、Children's Museumが最も得意とするところだけど、なんか、アートって簡単だなあ。。。

 

※追記:「簡単」で切り捨てるのもどうかと思うので、客観的な情報だけ並べてみる。

アーティストのサイト

展覧会公式サイト

バランスとれたレビュー

 

Occupy Wall Street

例の911近くのズコッティ公園に立ち寄って「ウォールストリートを占拠せよ(Occupy Wall Street)」の活動を見てみる。まだ退去命令と逮捕者が出る前。バンドの演奏が鳴り止まない。ひとまわりしてみる。ブースごとにいろいろな主張があるが、果して経済構造の問題とどう関係があるんだろう??というようなものも少なくない。占いやサイキック、瞑想など。

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ニューヨーク大学近くで待ち合わせて、以前同じ大学だった友達とモロッコ料理に。

ラムやアピタイザー少しをオーダーし、焦るようにゆっくりと話をした。

 

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疲れに加えてワインが回っていたのもあるのかもだけど、なんだか新しい感覚で話ができた。

オススメのチーズケーキ屋があるというので、イエスパーソンの二人は食べ過ぎというくらいに食べる。