安世鴻による元従軍慰安婦写真展@新宿ニコンサロン

先週行って来ました。小さなギャラリーにセキュリティが10名弱、空港並みのセキュリティチェック、普段のニコンサロンで出来ることへの規制(廊内写真撮影、チラシ配布、カタログ販売)となかなか辟易な状況です。人権系の活動団体の方々がボランティアでスタッフをやっていました。作家も在廊。平日の午前中にもかかわらず滞在した30分ほどのあいだにも20人くらいは入っていたように思います。その前の週には30分待ちとかでかなりの人が入っていたらしい。

作品は、韓国人写真家の安世鴻(アンセホン)さんが在中国の元慰安婦たちを撮影したもので、現在の厳しい生活と悲哀を強調したようなキャプチャの仕方で、強い画面の写真でした。42×60cmのA2サイズくらいの作品が、30点ほどでしょうか。キャプションがないのは展示会場からの「要望」ではなく作家側の意向とのこと。コンセプト文はあり。カタログは販売がニコン側から禁止されているとのことで、予約制で後から送付してくれるとのこと。小さなリーフレットのようなものでした。作家のその他の作品集は、韓国の伝統的な舞踊である仮面の舞(タルチュム)を対象にしていたが、そこからも作家は継承されてきた「歴史」の現在時に焦点を当てていることがわかります。本展も、元慰安婦の現在の「生」を描いている。

なお、大阪、名古屋、広島、ソウル、ニューヨーク、パリ、ベルリン、ロンドンへ巡回するということで各地での反応はが興味深いです。

この会場の隣りにbisという別の展示スペースがあって、そこでやってたのが「SHIBUYA」という渋谷のストリートでギャルやコスプレやひなびたサラリーマンを撮影した展覧会。慰安婦展の会場を通らないと入れないところでそんな展覧会をやっているのが、悪い冗談か、あるいはある種の現代美術のようでした(笑)ーーー「表層」と「深層」、あるいは「隠されたもの」と「現れたもの」から暴力性を見せるといった類の。

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ニコン公式ウェブサイトの声明
6/26 (火) 〜7/9 (月) 安世鴻写真展は諸般の事情により中止することといたしておりましたが、東京地方裁判所から、「ニコンサロンを安世鴻氏の写真展のために仮に使用させなければならない」との仮処分が発令されましたので、これに従って、安世鴻氏に対し新宿ニコンサロンを仮にご使用いただくことといたしました。(現在、東京高等裁判所保全抗告を申立中です)
http://www.nikon-image.com/activity/salon/schedule/

なお、この作家による名古屋を拠点にした重重(JUJU)プロジェクト自体はこの展覧会に限らない別の活動みたいです。
http://juju-project.net/

会期終了前日、東京新聞の報道
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20120708/CK2012070802000109.html
7000人というのはこの会場規模、期間ではかなり入っているほうですね。どのような人たちが見に来たのだろう。