想田和弘『精神0』@仮設の映画館プロジェクト:上映文化の存続のための「映画の経済」

ドキュメンタリー映画監督の想田和弘さんが新作の『精神0』を、「仮設の映画館」で上映公開します。

『精神0』 2020年5月2日(土)10:00〜 配給:東風

渋谷シアター・イメージフォーラム、岡山シネマクレール他

seishin0.com 

 

※追記:ちょうど取材地の岡山出身だったこともあり、「被写体になること」という観点から感想を書いています。

phoiming.hatenadiary.org

 

つまりはオンラインでの配信ですが、その仕組みは、配信の仕組みの使用料(約10%)を差引いた後、映画館と配給会社で半々で分配し、さらに配給と製作者で売り上げを分けるという方法です。コロナによる文化事業の経済苦境にあって、一般的な興行収入に近づけた「映画の経済」の仕組みの維持を目指しています。「仮設」という言葉には、現場に集いにくいこの時期を乗り切り、「映画の上演」という文化を生き残らせようという意図が込められているように思います。
まず歪みが生じたのはミニシアターで、アップリンクによる配信やクラウドファンディングなどの活動が少しずつ知れ渡り始めていますが、今回の件では、配給会社や監督をはじめ映画製作者の方々への想像力を喚起することになるといいなと思います。幸い大反響のようで、民放テレビ番組、全国紙、地方紙、ウェブメディアなど各所で取り上げられています。
 
アップリンク独自の見放題配信の開始

www.uplink.co.jp

 

「ミニシアター・エイド基金クラウドファンディング

僕の故郷の岡山では、彼の地の映画文化を支えてきたミニシアターシネマクレールが上映館になっています。高校時代に映画の力を教えてもらった場所です。この仕組みが単なる延命策ではなくポジティヴな強みもあるのではないかと感じるのは、インターネット経由なのでどの地域の映画館でもサポートできるという点です。地域間の経済格差も文化政策における大きな課題の一つですが、この点も今後の「映画の経済」(や広く「文化の経済」と言うべきかも)に対してある種のモデルとなるかも知れません。

 

シネマクレー

www.cinemaclair.co.jp

山陽新聞(岡山圏域の地方紙)

 

www.sanyonews.jp

※追記

「仮設の映画館」には、「上映前の注意動画」もあれば「舞台挨拶」もあります。この仮設感(というか仮想感)が、とてもいいですね。

 

舞台挨拶:「仮設の映画館」『精神0』想田和弘監督 & 柏木規与子プロデューサー 初日舞台挨拶
https://www.youtube.com/watch?v=3uc7kJ39gVg&fbclid=IwAR2ZNpONTsfCAPLOiI1JLBC_jpPFEPYwt1GtfVv53B6zKrYiVwUxlPFvoMQ 

 

仮設の映画館で『精神0』を観るのに向けて、ステイホーム・シアターもはじめました。 試写に想田和弘監督の『港町』を「天然色版」で観たのですが、なかなか良かったです(安価なプロジェクターだと色調の再現が甘いですね)。まずは「仮設の映画館」初上映作『春を告げる町』を観てみようかと思います。

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上映日のタイミングでパンフレットを購入してみた。「物販」も仮設中。

ここは、工夫したらより面白くてマネタイズにもなるサービスが作れそう。ネットで読むパンフとか、監督や評論家が選ぶ関連作品10本ストリーム+レビューとか。